漢方薬はドーピングに引っかかる!? 禁止物質に該当するのか!?
漢方薬は天然由来の生薬から調合された医薬品であり、副作用が少ないため、「漢方薬安全神話」が根付いていますが、ドーピング検査には引っかかるのか。今回は「ドーピング(漢方薬編)」について現役スポーツファーマシストが解説します。
◆漢方薬における禁止物質
漢方薬を構成する生薬の中には、明らかな禁止物質(ドーピング検査に陽性)がある。その代表例として「麻黄」、「ホミカ」、「カイクジン」、「ジャコウ」が挙げられる。
◆なぜ麻黄はドーピングに引っかかる!?
「麻黄」はエフェドリンという興奮物質が含まれており、市販薬では総合感冒薬(風邪薬)に含まれているものがある。
◆なぜホミカはドーピングに引っかかる!?
「ホミカ」は、ストリキニーネというアルカロイド(興奮物質)が含まれており、市販薬では胃薬に含まれているものがある。
◆上記を含まない漢方薬は安全!?
そうとはかぎらない。漢方薬を構成する生薬には、天然由来でそれぞれたくさんの成分が含まれており、ひとつひとつの成分が禁止物質にあたるかどうか特定するのは困難。よって、天然由来=不純物を含む可能性が高いため、明らかにされている含有成分には禁止物質を含まない漢方薬であっても、禁止物質を含まないと保証することはできず、原則服用しないことが推奨されている。オリンピックでも漢方薬は特に注意が必要。